こんにちは。PECデザイナーの重本です。
毎年この時期に開催されるMet Galaというアート/ファッションイベントをご存知でしょうか。
今年は「Fashion is Art(アートとしてのファッション)」をテーマに、200人を超えるセレブたちが会場を彩りました。
その中でも、私が圧倒的に目を引かれたのが、Anok Yai(アノック・ヤイ)のルックです。
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Anok Yai Sent a Message at the Met Gala 2026 With Her Balenciaga “Black Madonna” Look | Vogue
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テーマが“アート”ということもあり、今年は名画や彫刻にインスパイアされたファッションが多い印象でした。
その中でAnok Yaiは、「アートを着る」というより、“存在そのものが作品になっていた”ように感じました。
今回は、Anok Yaiのルックが、テーマをどのように解釈し、表現していたのかを、私なりに考察してみたいと思います。
“悲しみの聖母”を、モードとして再構築
まず、今回Anok Yaiがモチーフにしたのは、「Mater Dolorosa(マーテル・ドロローサ/悲しみの母)」として知られる聖母マリア像だと思われます。
これは、スペインやイタリアを中心に長く描かれてきた宗教美術のジャンルで、ヴェールに包まれた聖母マリアが、キリストの受難を悲しみ、涙を流す姿が表現されています。
特にスペイン宗教彫刻では、木彫に彩色を施し、涙をガラスで表現した作品も多く、今回のAnok Yaiのルックにもかなり近い空気感がありました。
「生身」と「彫刻」の間をつくるメイク
そして特に印象的だったのが、肌の質感です。
全身をブロンズのような光沢感で仕上げていて、光の当たり方によって、本当に金属や彫刻のように見える。
普通のレッドカーペットメイクというより、“人体そのものを素材化する”ような発想に近く、この質感づくり自体がとてもアートでした。
Anok Yai自身の肌や骨格の美しさが最大限に生かされていて、まさに「生身」と「彫刻」の間をつくるメイクだったと思います。
ベールの中の「異形」
さらに驚いたのが、ベールの中に隠されたヘアです。
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彫刻のようなこの髪型は、地毛をセットしたものではなく、型取りをした硬質なウィッグを装着していたそうです。
後ろ姿を見ると、髪には蛇が絡みついています。
蛇は西洋美術において、「誘惑」や「恐怖」、あるいは「神秘性」の象徴として扱われるモチーフ。
つまり今回のルックは、“聖なる存在”である聖母像に、神話的で不穏な要素を重ね合わせていたようにも見えます。
しかもその蛇ヘアは、ベールによってほとんど隠されている。
全部を見せないことで、より神秘的で、「像として完成された存在感」が強調されていたのが印象的でした。
テーマを「衣装」ではなく「存在感」に落とし込む
今回のAnok Yaiのルックは、“服を見せる”というより、“人間そのものを作品化する”アプローチだった気がします。
だからこそ、テーマである「Fashion is Art」を、今年最も体現していたルックのひとつだったのではないでしょうか。
それにしても、本当にかっこよすぎる…!
来年のMet Galaも今から楽しみです。
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