こんにちは。PECデザイナーの重本です。
今回は、デザインにおける“コンセプト”についてお話ししたいと思います。
“コンセプト”という言葉、どういう意図で使っていますか?
先日、デザイン研修の中で代表から、
「 “コンセプト” って言葉をあまり使わないで 」
という話がありました。
クライアント様にデザインをご提案するとき、
「今回のデザインの“コンセプト” は…」と切り出すのは自然なことだと思っていたので、
なぜ良くないのだろうと一瞬疑問に思いました。
でもそもそも、“コンセプト” 自体が何かって聞かれたら、
すぐに答えられないんですよね。
ちなみに、広辞苑の説明を引用してみると、以下のようになっています。
コンセプト:概念:①事物の本質をとらえる思考の形式。②大まかな意味内容
とても抽象的な言葉なので、
広義では経営理念に通ずるような、企業の在り方そのものと考えることもできますし、
外観イメージや機械仕様のような、割と具体的なことと考えることもできると思います。
つまり、人によって認識が大きく変わる言葉なので、前提となる定義を意識しないまま、
“コンセプト” という言葉を安易に使うのは避けるようにというのが、冒頭の発言の意図でした。
(曖昧な言葉を無意識に使って、実際は理解できていないってこと、“コンセプト” に限らずよくありそうですよね…)
PECにおける、“コンセプト”の考え方
では、PECは、工業デザインを行うにあたり、“コンセプト” をどう捉えているのでしょうか。
それは、一言で言うなら、
“コンセプト” =メーカーが装置/製品/商品の、外観、使用感、感触などを通じて訴えたいこと。
だと考えています。
なので、デザインをする際には、
上記が何なのかをクライアント様との対話を通じて探っていき、
その“コンセプト”を最大限効果的に表現するにはどうすればいいのかを考えます。
医療機器の場合は、ユーザー(医師、看護師さんなど)に加えて、
処置される患者さんもコンセプトを考える上で重要です。
例えば、
「とにかく患者さんに不安感を与えないような装置にしたい」と、クライアント様が思っているのならば、
やさしさを感じる色や形状、安心できる施術動作とはどんなものなのかを考えてデザインする必要があります。
すべてのデザインはコンセプトのためにあるわけですから、必ず根拠があるわけですね。
ご依頼段階では、コンセプトがはっきりとしていなくても問題ありません。
デザイン案をいくつかご覧いただくことで、
目指したい方向性についてより明確にイメージが湧き、具体的な議論が進むからです。
そうやって装置及び企業のブランドイメージが確立していけるように、お手伝いさせていただければと思います。
以上、今回は“コンセプト”に関するPECの考え方をお伝えしました。
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