こんにちは。PECデザイナーの重本です。
先日、金沢にある「鈴木大拙館」という所に行きました。
仏教哲学者である鈴木大拙氏の思想を伝え、来館者自身が思想するための場所として建てられた文化施設だそうです。
恥ずかしながら鈴木大拙氏のことは知らなかったのですが、建物がかっこよかったので行ってみました。
お庭側から入ると、真っ先に目に入るのは水鏡の庭とそこに浮かぶ建物。
静かで緊張感のある空間に一気に引き込まれました。
建物の中も水平基調の凛とした雰囲気が続いていて、それまでの雑念(金沢が暑すぎることとか今日の晩ご飯どうしようとか)が鎮まり、背筋がピシッとシャキッとして、何だか高尚なことが考えられそうな気持ちになりました。
(実際は無になっただけなのですが)
手すりや椅子など内装品も建築の静謐な印象と統一されていて、思索のための場というコンセプトの通り、来館者が自身の内面を意識できるよう空間がデザインされていると感じました。
(撮影禁止のため写真はありませんが、水鏡の庭を望む「思索空間」という畳の間がとてもよかったです。)
スケールは違えど、プロダクトデザインでもカタチによってユーザーの感情を動かすことは不可欠なので、とても勉強になりました。
このようにデザインがユーザーの感情に良い影響を与えることは、デザインの情緒的な価値などといいます。
シンプルに「かっこいい」「高級感がある」といったものや、そのブランドらしさを感じるなど、そのデザインを見た人の感情に与える価値です。
ユニバーサルデザインや、環境や製造性に配慮したデザインなどといった、機能的な価値は客観的な指標で判断しやすい一方、
情緒的な価値は、各個人の経験からくる価値観や好みに左右されますし、絶対的な指標はありません。
だからこそデザイナーは、ユーザーがどのような人で、製品を通してどのような印象をもって欲しいのかを明確にし、形で表現する必要があると思います。
とはいえこれが難しい。。
人一倍、カタチを見る目を鍛えないとと思いつつ、金沢を後にするのでした。
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