こんにちは。ペック株式会社デザイナーの佐藤です。
今日は本の紹介をしたいと思います。ずいぶん前に読み終えていたのですが紹介するタイミングがなく、やっと紹介できます!
昭和のノスタルジーと、現代社会が抱える「正義の暴走」が交錯する衝撃の一冊、『秀和幡ヶ谷レジデンス』を紹介したいと思います。

私は以前から秀和レジデンスのファンでした。街を歩いていてあの独特の佇まいを見つけると、つい足を止めて見惚れてしまいます。「いつかこんなマンションに住んでみたい」と考えていた時期もありました。
秀和の魅力といえば、何といってもそのビジュアル。鮮やかな青い屋根瓦、ラフで温かみのある南欧風の塗り壁、そして、少し装飾的でファンシーなバルコニーのアイアン柵
これらはまさに、昭和の時代に人々が思い描いた「都会の豪華な暮らし」の具現化そのものなのかなと個人的には思っています。
しかし、そんな美しい外観とは裏腹に、ある「黒い噂」が絶えませんでした。特に幡ヶ谷エリアに立つ一棟には、耳を疑うような独自ルールが存在するといい、事実コロナ禍前の不動産サイトではその立地からは考えられない価格で部屋が売られていました。
その闇の部分に切り込んだノンフィクション本が出たと知り、私はすぐに手に取りました。
本書で明かされる秀和幡ヶ谷レジデンスの実態は、想像を絶するものでした。管理組合を長年支配した人物によって敷かれた、過酷すぎるルールの数々。
以外ルール1部です
・17時以降や土日は、介護事業者やベビーシッターなどの「業者」の立ち入りが禁止。
夜間に救急車を呼んでも、管理室と連絡が取れないという理由で救急隊が入室できず、深刻な事態になりかけたケースもあったそう。
・入居時の圧迫面接
・リフォームの全面禁止(バランス釜変更禁止!)
・ 友人や親戚を泊めると「転入出費用」のような名目で1万円を請求される。
など…
こんなブラック規則を解消する為に、住民は管理人に対して勇気ある闘いを挑む、そんなストーリーなわけです。
読み進めるうちに、私はこの物語が単なる「変わったマンションのトラブル」ではないことに気づきました。
最初は「マンションを良くしたい」「秩序を守りたい」という純粋な正義感から始まったはずの行動が、いつの間にか目的を見失い、他者を排斥するための狂った執着へと変質していく。このグラデーションの危うさは現代の世界情勢にも通ずるものがあるなと思ってしまいます。
「正しいこと」をしているという確信が、最も人を残酷にする。
この本は、憧れのヴィンテージマンションの裏側を暴くと同時に、私たち誰もが陥るかもしれない「正義の暴走」への警告書でもあると思いました。
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