こんにちは。設計の林です。

 

製品検査やリバースエンジニアリング、医療等に使われ、存在が定番化しつつある3Dスキャナ。
当ブログにもつかってみた感想の記事があります。
https://e-pec.co.jp/solution/reality-scan/

 

今回は製造業界のスタンダードとはちょっと違った面白い実用例をご紹介します。

 

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アウトドアボルダリングの世界において、最難であるV17グレード課題”burden of dreams”(2024年4月現在)。
これは北欧フィンランド南端、首都ヘルシンキ郊外にある自然の岩に作られたルートです。

 

2016年にフィンランド人のクライマーが初登して以来、長く第二登が出ない状態でした。

 

難易度の高さもさることながら、多くの人にとってヘルシンキが行きにくい場所にある上に、             
指の皮をがりがり削ってくる花崗岩であるいうこともあり、なかなか数を打つことが難しいようです。

 

そんな中イギリス出身のWill Bosiという方は、“岩肌を3Dスキャン”して作ったレプリカ岩で練習。
そしてついに課題を攻略。第二登を果たしたのでした。

https://www.climbing-net.com/news/burden-of-dreams_20230415/

 

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いかがでしょう?
私はこのニュースを聞いた時に「その手があったか!」と膝をうちました。
たしかに今までも外岩の課題をジムに再現して練習するというやり方はありましたが、
それは既存のホールド(岩)を使って「再現」する範囲にとどまり、「複製」のレベルではありませんでした。
3Dスキャナの登場とクライマーの執念の組み合わせにより“岩のレプリカ”という
一般的には魔訶不思議と思えるものが生まれたようです。

 

道具や技術が先行するとそれをどのように使うか戸惑うこともありますし、
「モノよりコト」的な開発がもてはやされている昨今ではあります。
ただ3Dスキャナ開発者は当初このような使い方を想像したでしょうか?

 

物は使いようといいますか、道具や技術の進歩に負けないほど想像力を働かせれば
こんなに面白くも可能性を広げられるような使い道を見つけられるのだなあと、
工業製品を使用するユーザー側の立場として刺激された出来事でした。

 

現在“burden of dreams”レプリカはホールドセットとして市販されており、
東京近郊だと武蔵村山のMabooというボルダリングジムにセットされています。
https://coreclimbing.co.uk/product/burden-of-dreams-replica/

 

そして現在、このジムでburden of dreamsを練習した日本人クライマーが現地トライ中です。

 

藤井快さん
https://www.instagram.com/fujii_kokoro/
亀山凌平さん
https://www.instagram.com/ryohei_kame/?hl=ja

 

趣味としてボルダリングを嗜む程度の私には遠い世界ですが、イチファンとして日本から完登を祈る日々です!
ご興味があれば各選手のSNSをチェックしてみてください。

 

 

(写真はイメージです)


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