先日、テレビで、鳥海修さんという書体設計士の方がインタビュー(特集)されているのを観ました。
鳥海さんは、ヒラギノフォントや游書体をはじめとして100以上のフォント制作に関わって来られた方だそうです。
私は日頃、ヒラギノフォントも游書体のどちらにもお世話になっていますが、游ゴシックは個人的に使うことが多いです。
画像出典:https://note.screen-hiragino.jp/n/nd755e28be749
制作手順としては、シャープペンシルで文字の骨格を描く→毛筆で骨格に沿って描く→面相筆で修正→スキャンしてアウトラインをPC上で修正するという手順だそうです。
弊社では、ロゴタイプを作ることがありますが、その際、既存のフォントを参照します。その線の太さの微妙な抑揚に制作者の方の工夫を感じることが多いです。
インタビューの中で鳥海さんがおっしゃっていたことの中でいくつか印象的だったところがあります。
一つは、「文字に意識がいかない文字」を志しているということです。これは物のデザインにも通ずるところがあります。
道具は、それ自体が主張しすぎてはならず、シンプルな存在であるべきというのが基本になっています。
二つ目は「書体を完璧にしたいという思いは独りよがりだとも捉えられるが、ものづくりをする者にとっては重要だ」ということです。これは全くその通りなのだろうと思いました。私も、完璧にしたいという思いがものづくりにとって何よりの原動力になるということは日々実感します。
「拘りが大事」と一言で言えますが、拘りを貫き通すことは容易ではありません。「拘り」や「熱意」が感じられないものはすぐに見抜かれてしまいます。
私たちが文字を打ち込む時、その内容に集中することができるのは、書体設計士の方が書体をデザインしてくださっているからという事実に感謝すると共に、同じものづくりに携わる者として背筋が伸びました。
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