こんにちは。設計の林です。

 

ねじってたくさん種類がありますよね。
改めてどれくらいあるのかなと思い、ねじの部位ごとに形状の種類を列挙してみました。
(もちろん、すべてを網羅できているわけではありませんので、抜けや漏れはご容赦ください)


■ねじ頭の形状
 ・なべ
 ・皿
 ・丸皿
 ・トラス
 ・バインド
 ・低頭
 ・極低頭
 ・チーズ
 ・丸 
 ・六角
 ・平
 ・四角
 ・ボタン

 頭がないもの:
 ・いもねじ、ながねじ


■ねじ山形状、ピッチ
 ・三角ねじ
  メートル(並目、細目)
  インチ
  ユニファイ(主にアメリカ、カナダ、イギリス)(並目、細目)
  ウィット(ねじ山角度55度、主にイギリス)
  ミニチュアねじ(マイクロねじ)
  タッピンねじ1種(Aタッピング)
  タッピンねじ2,4種(B0タッピング、B1タッピング、ABタッピング)
  タッピンねじ3種(C0タッピング、C1タッピング)
  木ねじ

 

 ・台形ねじ
  メートル台形ねじ(送りねじ)
  管用平行ねじ
  管用テーパねじ
  アメリカ平行ねじ
  アメリカ管用テーパねじ

 

 ・丸ねじ
  電球ねじ

 

 ・角ねじ
 ・鋸歯ねじ


そのほか: 
 ・カメラ三脚用ねじ(JIS)
 ・自転車ねじ(JIS)
 ・給水栓取り付けねじ(JIS)

など

 

■ねじ回し穴の形状
 ・マイナス(すりわり)
 ・プラス
   フィリップス(PH)
   ポジドライブ(PZ)
   JIS(H, S)
 ・プラスマイナス
 ・トルクス(ヘクサロビュラ)
 ・ラインヘッド、ラインリセス(ゲームビット)
 ・ヘキサ(六角形系統)
 ・ペンタローブ(五角形系統)
 ・スクエア(ロバートソン)
 ・トライポイント、トライウイング(Y字系統)
 ・スパナ(豚の鼻など)


■ねじ先の形状
 ・あら先
 ・面取り先
 ・平先
 ・丸先
 ・とがり先
 ・全とがり先
 ・棒先
 ・半棒先
 ・くぼみ先
 ・切刃先
 ・タッピンねじ先F
 ・タッピンねじ先C
 ・木ねじ
 ・ドリルねじ

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さて、ユーザーとして普段一番気になるのは「ねじ回し穴の形状」ではないでしょうか。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_screw_drives

 

日本ではプラスやヘキサがごくごく当たり前に使用されていますが、海外に目を向けると必ずしも一般的なわけではありません。
欧米で製造・組み立てされた製品はどちらかというとポジやトルクスなど、なめにくい形状のものが多いです。
T型フォードに採用されずプラス(フィリップス)に駆逐されたスクエア(ロバートソン)も、
日本ではまず見ませんが、生誕の地であるカナダの建築現場で愛用され続けているそうです。
作業の丁寧さも関係するでしょうが、工具やねじの加工精度がそれほど高くないことも理由ではないかと思います。

 

プラスねじについて少し掘り下げてみます。
プラスには主に、フィリップス、JIS、ポジドライブの3種類が存在します。

 

フィリップスはアメリカを中心に広く使用されています。
ISO 4757(ねじ側)でType H、ISO 8764(ドライバ側)でPH、ASME B18.6.3でType Iにあたります。
自動センタリングと、一定以上のトルクでカムアウト(穴から外れる)する特徴があります。
上記の通りフォードの自動車大量生産に寄与したねじでもあります。

 

JISプラスはいわば日本で使用されているねじ規格です。
JIS B 1012(ねじ側)、JIS B 4633(ドライバ側)のH形にあたります。
主にカメラやバイクなど日本製品を通じて世界に広まっているようです。
基本的にはISO準拠なのでフィリップスとほぼ同形状ですが、JISプラスのほうがシャープな形状をしています。
互換性に関しては、フィリップスの+ドライバーをJISねじに使用するとなめやすくなり、
JISの+ドライバーをフィリップスねじに使用するとなめにくくなる、となります(カムアウトしない)。
また、後述のポジドライブねじにも一応使用可能です。
したがってホームセンターでおなじみのVesselボールグリップなどは地味に海外で人気があったりします。
パッと見でフィリップスと見分けるのは難しいですが、JISねじのほうには+溝の肩の部分に「・」が彫ってあることがあります。

 

引用元:https://www.hanshin-neji.com/content/5486/phillips-vs-jis-drive-screw

 

ポジドライブは欧州中心に使用されているねじです。
ISO 4757(ねじ側)でType Z、ISO 8764(ドライバ側)でPZ、ASME B18.6.3でType IA、JISでZ型にあたります。
+溝に加えて4方向放射状にも溝が彫ってあり、ポジ以外の+ドライバーを用いることはできますが多少なめやすいです。
特に、電動ドライバーにフィリップスのビットをつけた状態でポジのねじを相手にした場合は悲惨です。
ポジのドライバーも、ほかの+ねじに使えません。
イギリス発祥なので、古いイギリス車やイケアの家具、ダイソンの掃除機など、欧州由来の製品によく使われています。
私自身ポジドライバーは3番だけ所有していますが、スキービンディングの調整の時しか出番がありません。
ポジドライブねじのねじ頭には「米」印のように放射状の線が入っています。

 

引用元:https://ascii.jp/elem/000/001/690/1690646/

 


以上、身近ながら意外と奥が深いねじの話でした。

 

 


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