サムネイル画像:青崩峠トンネル貫通 | 東日新聞

 

こんにちは。設計の林です。

 

青崩峠トンネル(仮称)がとうとう完成し、3月2日に完成式が催されたようです。

 

 


青崩峠トンネルって何?という方は少々マニアックですが地図を見ながらお付き合い願います。

 


南は静岡・浜松、北は長野・上田まで約270kmを結ぶ国道152号。その最難所「青崩峠」。

 

国道152号は国道に指定されるよりはるか前、縄文時代より物資交流、軍用道路、巡礼路として繁く使われてきた地方主要道です。

国道指定後に車道として整備されはしましたが、難所「青崩峠」の地形の険しさ、地盤の脆さから道路を引くことさえできず、林道/登山道レベルの山道のみが引かれた“酷道”状態が長く続いていました。

 

そんな152号ですが、長野-静岡間は他に”まとも”なルートがないため、なんとか使い物にならないかの試行錯誤が重ねられていました。
しかし高々と掲げられた『三遠南信自動車道』構想もむなしく、もろい地盤を前に一度敗退(草木トンネルルート)。
ルートを少し西にずらし再チャレンジしたのがこの度貫通した「青崩峠トンネル(仮)」を通過するルートです。

 

https://www.tonichi.net/news/index.php?id=101970

 

 

構想から40年越しの本トンネル完成はまさに悲願、縄文人や信玄公も泣いて喜ぶであろう快挙!
ということで、トンネル貫通を祝し、私の独断と偏見による「国道152号沿線おすすめスポット」を南から順にご紹介したいと思います。

 

 

①天竜二俣駅

天竜浜名湖線というディーゼル1両編成・ワンマン運転のかわいいローカル線の駅。
駅にはエヴァンゲリオン新劇場版、第3村のモデルになった転車台&扇形車庫があります。

 

②秋葉神社
秋葉大権現を祭る秋葉信仰の総本山。神仏習合、防火の神様仏様だそうです。
152号は秋葉街道とも呼ばれ、江戸時代には長野方面からの秋葉神社参りが盛んだったそうです。
東京にある「秋葉原」も、もともとは延焼防止の火除地で同じ意味合いをもつ言葉です。

 

③佐久間
佐久間の村はまさにJ-POWER村。入村すると方々にたなびくJ-POWER旗が出迎えてくれます。
西日本の60Hzと東日本の50Hzを変換する施設があることで有名ですが、ご本尊はさらに村の奥に鎮座する「佐久間ダム」。
当ダムにまつわる道路・鉄道付け替えの歴史、海外土木機械の導入による土木技術の発展などのサイドストーリーは一読の価値ありです。

 

④大鹿村中央構造線博物館
青崩峠が難攻不落とされていた理由「中央構造線」を理解するのにぴったりの施設です。
学芸員さんの手書きメモが所せましと貼ってあり断層愛を感じます。
いろんな岩の実物が展示されており、触って楽しむこともできます。

 

⑤分杭峠
日本三大パワースポットの内の1つ、“ゼロ磁場”で有名な分杭峠。
夜にはここから光の柱が立ち上っているのが見えるとか見えないとか。

 

⑥諏訪大社
7年に一度の御柱祭で有名な神社です。152号も御柱を運ぶルートに含まれ、お祭りの期間は一部通行止めになります。
ちなみに諏訪湖は、糸井川静岡構造線と中央構造線の2つの断層が交差する地点にある断層湖です。

なんだか特別な感じがしませんか?

 

⑦茅野市尖石縄文考古館
茅野周辺は土偶などが多数出土する縄文のメッカなのはご存知でしょうか?
ここら辺に住んでいた縄文人が塩の道152号を使っていたと想像すると胸が熱くなります。
当博物館にはかの有名な国宝土偶「縄文のビーナス」が所蔵・展示されています。

 

⑧星くずの里たかやま 黒曜石体験ミュージアム
弥生時代に鉄が伝来するまでナイフ等に使われていた黒曜石。その代表的な産地が152号沿いにあります。
産地が限られていた黒曜石は、想像以上に遠方まで運ばれ取引されていたようです。
黒曜石の矢じりで鹿を狩り、時には152号を通って遠路はるばる太平洋側へ持っていき、塩や海産物と交換して帰る。
縄文人でにぎわう黒曜石鉱山を想像すると、わくわくしてきます。

 


このように掘り下げれば掘り下げるほど時間×空間スケールで無限に深みを感じられるこのエリア。
青崩峠トンネル供用開始の暁にはぜひ訪れてみてください!

 

 

 

 


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